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しのふく通信

物語をめぐり、言葉をめぐり、それから。ーーーー✖︎篠崎フクシ

詩集#7 やまい

#7 やまい

 

春に咲く花が散りゆき

灰色の路面が薄桃色に染まる

なのに

僕の咳はまだ止まらない

胸の奥から渇いた咳が かってに

かってに 僕の意思ではないのに

それは迫り上がる海面のように

おそるべきちからをはっきして

神の教えに反した放蕩者の道の

足跡のように止まることを知らない

止まることを忘れた 咳

黒い服を着たチンピラの肩がぶつかる

僕はよたよたと  咳をしながら泥水の中に倒れこむ 

そのとき

水に浮かぶ花びらが  僕の頰に張り付いたんだ  聞いてくれ  僕の頰に張り付いたんだ  美しい絵画のようだった

咳をしながらひたすらおもう

いつか逢えるだろうか

まだ見ぬ君に逢えるだろうか

咳の色はいつまでも薄桃のやうであるだろうか

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