読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

しのふく通信

物語をめぐり、言葉をめぐり、それから。ーーーー✖︎篠崎フクシ

詩集#4 裏切りの証左

詩集#4 裏切りの証左

 

そこは無風地帯だった

停戦合意にいたった街は

それでも悲しみと猜疑と憤りに満ちていた

武器を放棄した俺は場末の酒場で

つぎの抵抗の場を模索していた

あの小男が  あの裏切りという名の小男が現れたのは  そんな時だった

裏切りは人懐っこく近づいてきた

だから俺は  この無風地帯にひそむ

おそるべき秘密を語ったんだ

裏切りは  闘いは今だ

裏切りは  蜂起の日は近い

裏切りは  実弾を用意しろと  言う

裏切りの教唆の言葉は  俺には蜜の味だった

だってそうだろう?  俺たちはこの世界の底知れない秘密を知ってしまったのだから

裏切りは特別に仕立てた背広を俺に着せた  よく似合う  と付け加えることも忘れなかった

俺は黒い塊を渡され  久しぶりの感覚に打ち震えた

裏切りは 闘いは今だ
裏切りは 蜂起の日は近い
裏切りは 実弾を用意しろと 言う
裏切りの教唆の言葉は 俺には蜜の味だった

ターゲットは真理という名の大男だった  厭な脂の匂いがした

真理は俺の射程圏内に入った

真理に向かって弾き出された弾丸はしかし当たることはなかった

黒い塊はボウハツしたのだ

まんまと謀られたのを

その瞬間に  さとった

手首から先が消えたとき  ようやくさとった

真理も裏切りもグルだったのを

その瞬間に  さとった

その瞬間が  裏切りの証左を俺に知らしめたのだ

f:id:tokiniaiha:20170330184854j:image