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しのふく通信

物語をめぐり、言葉をめぐり、それから。ーーーー✖︎篠崎フクシ

人々への眼差しー『ミュシャ展』から

日曜日の午後、乃木坂駅から地上に出ると、春の陽気に心和む。遠くに開花を始めた桜の木が見える。新国立美術館はチケットを買うのも長蛇の列に並び、館内もおしくらまんじゅう状態だった。 でも、来てよかった、と思う。 先日、録画しておいた「日曜美術館…

安曇野 #3 森の中ではー絵本美術館にて

安曇野 #3 森の中ではー絵本美術館にて 一昨日の午后、自転車で遠くまで走ってみようと思った。穂高温泉郷に向かって、まっすぐ緩やかな勾配を上ってゆく。ママチャリだと結構キツイ。 先刻まで晴れていたはずなのに、急に雨雲が広がる。山の匂いがしだいに…

安曇野 #2 碌山が遺したものー碌山美術館にて

安曇野 #2 碌山が遺したものー碌山美術館にて こうして僕も書き言葉で表現しているのだが、改めて人が何かをつくりだすことの神秘に、驚嘆せざるをえない。それは言葉でなくとも、たとえば料理や建築や音楽でもいい。そこには何かしらのメッセージが含まれて…

安曇野 #1 山茱萸の黄色と

安曇野 #1 山茱萸の黄色と 家族の見舞いがてら、ひさしぶりに安曇野に帰省する。大糸線の豊科駅を降りると、まだ肌寒い。上空に強い寒気が流れ込んでいて、今日は全国的に寒いらしい。 少し雲で霞んでいるが、常念岳をはじめ、アルプスの山々はそれぞれ個性…

眠りについて ージャック・ロンドン『火を熾す』から

昨夜は飲みすぎたせいかそれともストレスなのか、真夜中に目を覚ましてしまった。早朝覚醒のような、アレか。経験的に、こういう時はすぐには眠れないだろうと考え、コップ一杯の水道水を飲んでから布団に入る。枕元の置き時計は二時を表示している。 仕方が…

Essai3 運命についてーポペスク『砂漠の下の海』から

先週金曜日、都内の大学の外部講師としての仕事を終えた。もう大学の教壇に立つことはないだろうと思い、最後にもう一度振り向き青空の下の講義棟を眺める。大勢の学生を前にして大講義室で喋るということを何年もやってきて、慣れているはずなのに、いつも…

Essai2 構築について ー森鷗外『普請中』から

言葉をつかい、物語をつくることが好きだ。言葉のない物語というものもあるのかもしれないが、僕はこのやり方しか知らないので、こうして言葉を紡いでいる。というか、スマホの表面を撫でている。 言葉はイメージを喚起する。赤いハンカチーフという言葉によ…

Essai1 憎しみについて−菊池寛『恩讐の彼方に』から

雑感 憎しみについて −菊池寛『恩讐の彼方に』から 人は時に、憎しみにとらわれ、そこから出られなくなることがある。 自らのプライドが傷つけられたり、心身へ暴力を振るわれたり、あるいは他者に無視されたりと、さまざまな原因があるだろう。 愛する人を…

小説出版のお知らせ

小説出版のお知らせ 以前、カクヨムという投稿サイト(現在は退会)に掲載していたいくつかの作品を統合し、『明滅する世界の縁』というタイトルで出版することになりました。先日、日本橋出版様と出版契約を結びましたので、ここにお知らせいたします。紙と…

時々、また、時々

時々、また、時々、 何かを書きます。 どこかで書いた小説の続きを。