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しのふく通信

物語をめぐり、言葉をめぐり、それから。ーーーー✖︎篠崎フクシ

詩集#6 感情消失の記念碑

詩集#6 感情消失の記念碑

 

言葉を奪われた君は

その日  一冊の詩集を  燃やした

その炎はとても小さく  小さく

小さく  小さく  小さく

小動物に捧げられた墓標のようだった

言葉を奪われた君は

その日  聖なる書に  火を放つ

その炎は  君がこれから誰も愛することがないだろうことを暗示していた

その炎はとても小さく小さく小さく

ふたりの存在を暗示していた

君はイヤホンから流れてくる

EDMを大音量で聴いていたね

涙が枯れても 聴いていたね

アル中の彼は口の中に巣口を突っ込んでいたから

アル中の彼は引き金に指をかけていたから(その指には蛇が彫られていた)

でもね

感情消失の記念碑が君のうちに

立てられたとしても

僕は書こうと思うんだ

君とあの男のことを詩に書こうと思うんだ

君がそれをなんど燃やしたってかまいはしない

君の感情消失の記念碑が僕の胸から消えないかぎり

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